倉田製作所

製作技術

製作のこだわり

手打ち

叩き

倉田製作所の本手打ち毛抜きは、ひとつひとつ金槌で叩いて作っています。機械で一気に潰したほうが時間も労力もかかりませんが、手で叩くことにより、金属組織の密度が高まり強度が増し、ほどよいバネのある毛抜きに仕上がります。

隙間

調整前調整後

抜く時に、毛があたる部分の刃先にもこだわりがあります。二つの刃先がピタリと合っていなければ、うぶ毛などの細い毛は抜けません。そのために、仕上げの段階で刃先を押さえて光にかざし、隙間から光が漏れなくなるまで研ぎを加えます。

種類

さまざまな毛抜き

毛抜きには、形によって「いろは」「甲丸」「瓢箪」などの種類がありますが、倉田製作所では、江戸から伝わるそれら伝統的なものの他に、携帯しやすいリップスティックタイプの毛抜きも考案しました。職人として常に使う人のことを考え、試行錯誤しています。

製作工程

工程ごとの形状

  1. 叩き

    叩き

    材料選定叩き芯抜き馴らし

    材料は主に18-8、18クロム等のステンレスを使いますが、場合によっては金や銀で作ることもあります。最初に素材の両端を金槌で叩いて延ばし、次に【芯抜き】といって毛抜きのバネになる中央部分を叩いて素材の芯を抜きます。その後再び全体を叩いて平坦になるように馴らします。

  2. 型抜き

    ヤスリがけ

    型抜きヤスリがけバリ取りミガキ

    叩いて横に伸びた余分な部分をプレスで型抜きした後、断面にヤスリをかけていきます。稜に対し斜めにヤスリをかけて面取りをし、細かなバリも丁寧に取ります。その後、3種類のバフ(砂、麻、布)を使って【ミガキ】を行います。

  3. 曲げ

    中央曲げ

    そり打ち銘きりそり打ち刃つけ先曲げ中央曲げ

    木製の作業台で微妙な曲がりを直す【そり打ち】をした後、「倉田義之」と銘を刻みます。再度そりを打ち、毛を挟む部分に【刃つけ】をしたら、先端を毛抜きの形に曲げて調節します。工程1で芯抜きをした中央部分をペンチで曲げ毛抜きの形にし調整を行った後、叩いて形を整えます。

  4. 仕上げ

    仕上げ

    ミガキヤスリがけ刃合わせ砥石入れ仕上げ

    表面を4種類のバフ(砂・麻・糸・布)を使い滑らかにし、毛を挟む部分の刃は3種類のヤスリ(荒、中、細)を順番にかけて仕上げます。形状やバネの弾力を調整した後、光にかざしながら2枚の刃先を隙間なく合わせ、最後に刃先に砥石を入れ、最終仕上げをして完成です。

エピソード

逆さまつげに苦しむお客様

長年逆さまつげで苦しまれた福岡県在住のK様より現況・症状図及び希望の毛抜き図案(特に先端部を丸く優しくと特記)入りの手紙を受け取りました。数回に及ぶやり取りの中で試作品を製作し納品したところ、お客様から完全に抜けたまつげ(根っこつき)とともにお礼の手紙と地元の特産品まで頂戴し、感謝の言葉を頂きました。完成までに約半年を要しましたが、お客さんにこれだけ喜んいただければ、職人冥利につきます。

手の握力が弱いので・・・

大阪在住のY様より「通常の毛抜きでは手の握力が弱いので毛が抜けない。自分の力でも楽に毛が抜ける毛抜きができないか」と問い合わせを受けました。そこで毛抜きのバネとなる部分【芯を抜く加減】を調整することにより、弱い力でもしっかりはさめるような毛抜きを製作し、お客様の希望を叶えることが出来ました。

愛犬家より

東京都在住の愛犬家M様より愛犬の逆さまつげ用の毛抜きの依頼を受け、こちらも先の福岡のK様の事例を参考に対応し希望を叶えることができました。以後毎年元気なワンちゃんが写っている年賀状を戴いています。

某有名ホテルの料理長が

東京都内某有名ホテルの料理長様より魚の小骨を取る毛抜きの依頼を受けました。以前より骨抜きは製作していましたが、今回は小骨用のためより細心の注意を払い口合わせにも時間を掛けました。以後ご愛用いただいております。

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